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ある死刑囚が明かした、人の死を巧みに金に換える男の存在ーその真相とは

Kada
Kada

Kada(@Kada_Se)です。犯罪小説と見間違うかのような、超ど級ノンフィクションを読みました。

本日読み終えたのは、こちらの本『凶悪 ある死刑囚の告白』です。

想像してみてください。
人を殺し、被害者の持つ財産を巧みに金に換える男が存在する。その男の犯罪は、未だ世間に知られていない。
逮捕されることもなく、私たちの住む街を普通に闊歩している・・・。

実際にあったらビビります。しかし、これはこの日本で実際に起きた事例です。

ってか、最近事件モノのノンフィクションばかり読んでる気がするな??

「凶悪 ある死刑囚の告白」
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この本はどんな本?

本書の内容

人を殺し、その死を巧みに金に換える“先生”と呼ばれる男がいる──雑誌記者が聞いた驚愕の証言。だが、告発者は元ヤクザで、しかも拘置所に収監中の殺人犯だった。信じていいのか? 記者は逡巡しながらも、現場を徹底的に歩き、関係者を訪ね、そして確信する。告発は本物だ! やがて、元ヤクザと記者の追及は警察を動かし、真の“凶悪”を追い詰めてゆく。白熱の犯罪ドキュメント。

カバー裏内容紹介より

とある死刑囚が、獄中で明かした未発覚の殺人事件。その真相をめぐる一連の流れが書かれています。

本書の著者は「新潮45」編集部となっていますが、主な執筆者は雑誌記者の宮本太一さんです。

”凶悪”な死刑囚が告発した、”凶悪”な不動産ブローカー

この事件の概要を、かいつまんで紹介します。

この本のキーパーソンとなるのは、死刑囚である後藤良次

後藤は、暴力団関連のトラブルにより2人を殺害した罪により逮捕されました。
すでに死刑が確定しています。

しかし、後藤は獄中で宮本さんにこう打ち明けました。
自分が関わった殺人は他にもある。
そして、その殺人に関与した人間の一人は、まだ娑婆で暮らしているー

その男は、”先生”と呼ばれるある不動産ブローカーでした。
なんでも、”先生”は人を殺し、その人が持っていた財産を自分のものにしているとのこと。

すでに死刑が決まっているとはいえ、獄中の殺人犯が自分の罪を告白するなど、自分の罪を重くする以外の何物でもありません。

しかし後藤は、自分と”先生”たちの犯罪行為を明かしました。理由は、”先生”への復讐のため。

後藤が自白した殺人の例が冒頭に挙げられています。

インテリアショップの経営者。会社経営に行き詰まり、数千万円の負債を抱え込む。

(中略)

この社長の知人に、ある不動産ブローカーがいた。このブローカーのもとで雑用をすることになり、水戸市内にある事務所で、半ば住み込みのような形で起居することになった。

(中略)

その後、茨城県笠間市の山の中で、変死体で発見される。しかし、結局、警察は病死か自殺として事案を処理した。享年六十七。死亡時、約八千万円の生命保険に加入していた。

p12より

これは、後藤が告発した事件の一つ。しかし、殺人はこれだけではありませんでした。

その真偽を確かめるため、宮本さんは取材を開始します。本書では、真相が明らかになっていく過程を紹介しつつ、徐々に”先生”を追い詰めていく様子が書かれています。

「凶悪」の感想

二人の凶悪による、前代未聞のバトル

まず、死刑囚の後藤良次。いままで、すでに死刑が確定した犯罪者が、自分の余罪を自白するケースはありませんでした。その時点で、この事件は普通とは一線を画しています。

後藤良次の殺人は到底許されるものではありません。
それでも、”先生”の行ったことには目を見張るものがあります。

自分の罪を洗いざらい話して、”先生”への復讐を果たそうとする後藤と必死に証拠隠滅を図る”先生”。
その構図が、この事件を一層白熱なものにしています。
真相が少しずつ明らかになっていく過程には、非常に引き込まれました。

死刑囚が余罪を自白することは、自分の罪が増えることでもあり、同時に自分への死刑執行を遅らせることにも繋がります。

しかし、告発により別の犯罪者の存在が明らかになり、真相解明につながったことは確かだと思います。

金融・不動産に関するリテラシーの重要性を再確認した

本書に出てくる”先生”。借金をしている人間を見つけ出して、「借金をチャラにしてやる」などと甘言を持って人の弱みに付け込んでいました。その後殺害し、その人が持っていた保険金・土地・不動産などをすべて金に換えていました。

被害者は本当に浮かばれないと思います。

しかし、こうも思わずにはいられません。

●無理な借金をしなければ・・・

●自身や家族・周囲の人間が、不動産の知識を持っていれば・・・

もしかしたら、命や財産が奪われるようなことはなかったかもしれません。
もちろん、悪いのは”先生”たち一派です。彼らが、殺人など画策しなければこれらの事件は起こりませんでした。

しかし。この事件に発展しかねない事例は必ずあると思っています。不動産に関する怪しい投資話を持ち掛けられたり、詐欺まがいの商品を紹介されたりとか。

どこかの本で読んだのですが、「知識がなければ、知識を持っている悪い人間に食い物にされる」という言葉がよぎりました。

金融や土地に対して、ちゃんと学んでおくことは自分の身を守るためにもなるんじゃないか…。と、そういう思いが浮かびました。

まとめ

ノンフィクションとして、非常に興味深い一冊です。
ぜひお手に取って読んでいただきたいです。

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