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自分はダメな人間なのではなく、そういうジョブなんだと思って生きる【メンタルクエスト】

昔は、学校でいじめられたり、家庭で嫌なことがあったりすると、すぐにゲームと小説に逃げ込んでいた。子どもながら、『自分がオタクで、内向的だから人と仲良くできない。いつかはゲームや読書を辞めないといけない』と漠然と思っていたことを覚えている。

30歳になった今、当時の事を振り返って見ると、自分はコンテンツに逃げ込んでいたのではなく、コンテンツに救ってもらっていたんだと感じる。

『メンタル・クエスト』は、そんなコンテンツが好きで、人生が生きづらいと感じている人に読んでほしい一冊だ。

        

人生ハードモードと言う言葉がある。ゲームのハードモードは楽しいやりこみ要素だが、人生のハードモードはただ苦しいだけだ。

『メンタル・クエスト』、人生のハードモードの攻略法を、人気RPGになぞらえつつ解説する、心理学の本である。いわゆる愛着障害やHSPといった、生きづらさに関連する心理状態を詳しく解説し、対処法を提示してくれている。

他の心理学の書籍にくらべると内容はポップで、ゲームの小ネタを交えつつ解説する文章が非常に面白い。何より、この本の著者自身も『スプラトゥーン2』のプレイ時間が2000時間を超えているらしい。親近感湧きまくる。

       

アニメ、ゲーム、映画、小説、アイドル、コスプレ、BL(ボーイズラブ)、演劇、二次創作ー。それらのコンテンツにハマることが、生きるうえでの心の拠り所になっている。言い換えれば、「コンテンツが人を救っている」ということです。

kindle版 メンタル・クエスト 鈴木裕介著 4ページより引用

こういう経験は何度もある。何気なく手に取った小説で、主人公が自分と同じ悩みを持っていた時。自分の悩みに輪郭を与えられ、小説を読みながら自分の状況を俯瞰しているような気分になったものだ。

   

著者は、生きづらさを抱える人はコンテンツにハマりやすい、と論じている。理由は、そうした人たちにとって、「安心できる居場所」や「安心できるつながり」がこの世界にないためだ。

それは家庭や学校が原因となることが多いが、私もそうだった。

    

では、人生ハードモードを抜け出すにはどうすれば良いか。様々な対処法が紹介されているが、特に心に残った点を2つ紹介したい。

1つめは、3つの基本的信頼を身に付けること。

①自分は大丈夫(自分への信頼)

②他人は信頼できる(他人への信頼)

③世界は安全で、怖くない(世界への信頼)

kindle版 メンタル・クエスト 鈴木裕介著 21ページより引用

この信頼が構築できるか否かは、親子の愛着がもととなっていることが多い。信頼が欠けている場合は、自分のニーズより他人のニーズを満たすことを優先してしまい、自分の人生(クエスト)を生きることが出来なくなる。

これらの信頼を身に付けるため、自分にとっての心の安全基地を手に入れ、自分の信頼感をアップデートさせることが必要となる。安全基地を見つけるためには、まずは自分からリスクを取って、自分の事を開示すること。

自己開示は相手を信頼しているというサイン。他人へのアプローチを変えれば、信頼には、信頼をもって応えてくれる可能性が高い。

     

2つめは、自分というキャラクターの特性をよく知ること。自己理解を深めて、自分の苦手な状況を避けたり、得意を深めることだ。

いわゆる人生ハードモードにつながりやすい性質として、「メランコリー親和型性格」や「HSP」がある。本書から、自分がどんな特性を持っているかを学ぶことができた。

私は、こういった性質が自分にも備わっていることを理解していた。しかしその性質は、自分の「ダメなところ」として認識していたと思う。

本書は、人の性質はただキャラクターのタイプの違いだと述べている。HSPは、敏感過ぎて弱い人間ではなく、『繊細な魔法使い』なのだ。魔法使いが、前線で敵の攻撃を受ける役割に適していないように、キャラクターには得意と不得意がある。ただそれだけ。自分の弱い部分は、『ただそういうジョブ』に過ぎない

    

私はゲームファンなので、自己認識を、RPGのジョブに例えるという発想は好きだ。自分の場合はどうだろうか。『敏感で人の顔色をすぐにうかがうが、細かいことに気づいて動けるタイプ。ただし月のモノの前後は極端に弱い』ジョブとでもいえるのかもしれない。

   

人生を楽しむ秘訣は、様々な人生の要素をゲーム化することなのかもしれない。自分というジョブを活かす方法は必ず見つかるし、長い時間をかけて『ジョブチェンジ』することだってきっと可能だ。

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