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悩みや不安を和らげる習慣|こころを整えるには日課を作ろう

こころの病を治療をするときに大切なことは、薬を毎日続けることです。

様々な病気が存在していますが、共通の治療方針は、薬と生活改善の2本柱と言われています。

 
 

薬だけじゃなくて、自分でも体調を整えたい!

そんな方にお勧めしたいのが、自分に合った日課をつくることです。

    

Kada
Kada

こんにちは、薬剤師のKada(@Kada_Se)です。

精神科の門前薬局に勤務しながら、お薬の指導をしていた経験があります。また私自身も、以前は精神科で処方されたお薬を服用していました。

精神科で処方される薬は、良くなったと思って途中で飲むのを止めてしまうと、症状がさらに悪くなってしまうことが知られています。毎日飲み続けることが大切です。

しかし同時に、私は薬剤師としての経験から、薬だけで治療をすることには限界があるとも感じています。

つらい時期は薬で乗り越えることが必要ですが、「自分の力でも体調を整えよう」という意思が無ければ、同じ病気を繰り返してしまいがちです。

   

体調を整えるには、生活の改善が必要です。言い換えると自分にとってプラスになる「日課」を作ること、とも言えます。

日課とは自分だけの薬であるーそう定義すれば、日課を作ることは新しい治療の可能性を開いてくれるのではないでしょうか。

      

「自分の薬をつくる」ー坂口恭平著

日課を作ることを、大事な治療法のひとつとして考えるようになったのは、ある本がきっかけになっています。

それが、「自分の薬をつくる(坂口恭平 著)」です。

作者は坂口恭平さん。なんとこの方、自分の携帯電話を公開し、不特定多数の方からの電話を受け付けています。その名も、『いのちの電話』ならぬ、『いのっちの電話』

「死にたくなったら電話しろ!」と発言し、希死念慮に苦しむ人々との対話を続けられているとのこと。

さて、「自分の薬をつくる」は、悩みを抱えている人々を集めて、みんなの前で『いのっちの電話』と同様の対話を行ったワークショップをもとに書かれています。

2019年に実際に行われたワークショップを誌上体験。

「いのっちの電話」では、なぜ電話をかけた人たちが楽になり、

元気になれるのか。いったい何がそこで起こっているのか。

その秘密とは。全部教えます。

Amazon 商品紹介欄より

著者の坂口さんが、参加者一人ひとりの悩みを聞き、それに対する対処法を伝える、という構成です。

     

新しい習慣が生まれれば、体が変化する

著者である坂口さん自身も、躁うつ病と診断され、服薬による治療を行っていた経験をお持ちです。自身の体調を整えるために、午前4時に起床して、朝一番に仕事をするという日課を続けられていると解説されています。

薬は「毎日」飲むんですから、風呂、歯磨き、睡眠とかの仲間なんですよ。つまり、薬ってのは「日課」なんですよね。そういう習慣をつくる。薬を毎日飲むことで、新しい習慣が生まれる。そうすることで、体を変化させようってことじゃないかと私は思ったわけです。

「自分の薬をつくる」坂口恭平著 p18より抜粋

私が関わっている患者様にも、きちんと薬を続ける人もいれば、ついつい忘れてしまう人もいます。
やはり、毎日続けられている人の方が治療が進むのも早いものです。

言い換えれば、薬を飲む日課を持っている人は、それだけ体調を整えやすいということだと思います。

Kada
Kada

薬だけでの治療は難しい!
なら、自分の体調を整えるための取り組みも薬だと考えて、
日課として生活に組み込んでしまえばいいんだね!

    

他人の悩みを知ることで、自分の悩みへの対処法を学べる

おさらいすると、次のようになります。

薬=「毎日」飲む=風呂や歯磨きや睡眠=日課

「自分の薬をつくる」坂口恭平著 p18より抜粋

本書では、悩みを持つ参加者たちに対して、坂口さんがこんなアドバイスされています。

幻聴が聞こえて困っています
【対処法】 聞こえてきた声を紙の上に書いて、小説にしてみましょう

敏感で、気分の落ち込みが激しいです

【対処法】 深夜1時まで起きるのを止めて、23時に寝ましょう

過食症です
【対処法】 自炊して、食事の絵日記をつけてみましょう。「食べる」行為に焦点を当てましょう

こんな感じ。なかなか今までにないアドバイスです。

この本の中には、22人もの参加者がそれぞれの悩みを告白しています。最初は辛い様子を口にしていましたが、坂口さんとお話をするにつれて、自分が本当にやりたかったことに焦点が当たっていく様子が見られました。

      

私は、これこそが日課だと思っています。

病気を治すために運動をしましょう、早寝早起きをしましょう、と指導することは簡単ですが、それがその人のやりたいことと結びついていなければ、人は動きません。

「聞こえてきた声を紙の上に書いて、小説にしてみましょう」なんて一見するとバカバカしいアドバイスにも見えますが、幻聴の内容を客観的な視点で受け止めることは、認知行動療法の観点から見ても正しい方法です。

    

「自分の悩みは自分だけのものだ」と思っていると、対処法も思いつくことも難しいものです。

しかし本書を読んでいると、「自分だけが抱えていると思っていたものが、実は他人も同じようなことで悩んでいる」と気づくことができます。

人は、他人の悩みより自分の悩みを過大にとらえる傾向があります。同時に、他人の悩みに対しては、より賢明なアドバイスをすることができることも研究で明らかにされました※参考論文

医療の現場では、自分の悩みを共有できる場所を作る試みはまだまだ少ない状況です。本書を読めば、22人の参加者たちの悩みが自分に寄り添っているように感じ、自分に合った日課を選ぶ助けにもなってくれることでしょう。

    

回復してきた人は、日課を作って少しずつ体調を整えよう

本記事では、体調を整えるために自分の日課を作ることが有効だとお伝えしました。

メンタルの疾患に対する治療は、薬と生活改善の2本柱が必要だとされています。

病気になったばかりで、まったく動けない・意欲が湧かない人は、しっかり薬を続けて休養を取ることが第一です。

少しずつ回復してきたな~と感じる方は、ぜひ自分の悩みに対する日課を考えてみて下さい。

     

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