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うつ病から回復するためにおすすめしたいこと、3つ

Kada
Kada

うつ病からの回復法を知るための本を読みました!

薬剤師として働いています。ゴリラのかだです。

精神科の門前薬局で働いていて、うつ病の薬を調剤することもあります。

この病気の難しいところは、薬を飲んでいるだけで寛解するのが難しいことです。

動ける気力が出てきた方に、どんなことを伝えられるのか。
それを知りたくて、うつ病に関する本を読みました。

うつ病の病態から、薬物治療、行動の治療まで、うつ病治療にまつわる基礎的知識を網羅的に学べる一冊です。

今回は、「新版 うつ病をなおす」の感想と、日常でできる治療法について書いていきます。

    

うつ病とはどんな病気か?

うつ病は、精神的・身体的ストレスにより、脳がうまく働かなくなっている状態です。

気分障害の一つであり、憂鬱な気分が1日中続く、眠れない、食欲がないなどの症状が長期間続き、本来好きだったはずのことが楽しめなくなど、日常に大きな支障が出ることが報告されています。

Kada
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うつ病は心の風邪だ、なんて言われるけど、そんな生ぬるいものじゃねえ!!

普通に暮らしていても、うつ病者であっても、落ち込んだり気分が不安定になったりすることはあります。

しかし、普通に暮らしている中で感じる抑うつ気分とは以下の点で大きく異なります。

●うつ病の場合、必ずしもひどいストレスに出会ってはいないのに、ひどくゆううつになる
●考え方が正常者とは質的に違う
●ゆううつの持続が極端に長い

悲しいとか、怒りとかではなく、とにかく虚無

四六時中、自分を嫌いで居続けて、世の中に何の楽しみも見いだせないってすっごい辛いです。

  

うつ病は、医師の力だけでも自分の力だけでも治療は難しい

本書「新版 うつ病をなおす」は、長くうつ病の治療に携わってきた、精神科医の野村総一郎先生が著者です。

日本でも早いうちからうつ病の入門書を書いてきたことがあり、非常にわかりやすい内容です。

出版は2017年ですが、内容は今でも通用すると思っています。

そんな本書で書かれている内容ですが、うつ病というのは非常に治すのが難しく、医者と患者の相互協力が欠かせない疾患だと思います。

「医師がありがたいアドバイスをしてくれて、それにしたがって生きていけば病気が治る」といったイメージを連想(期待) する人も居るが、精神療法の基本的な考え方は「導く」というよりは「ともに考える」「その人のもっている力を再発掘する」という感じに近い。もちろん医師のもっている情報を提供するという面もあるが、あくまで基本は患者の自律性を重んじたものになる。

「自立性」。これはうつ病における一つのキーワードだと思います。

うつの状態では、心のエネルギーが枯渇して、動きたくても動けないことが問題になります。

しかしそこには、自分自身でストレスを増やしてしまう考え方(メランコリー親和性性格という)が根強く存在していることが多いです。

薬と休養で自身のエネルギーを取り戻し、自分自身の考え方・生き方を変えていく。

そんな、うつ病者自身の力を引き出すことが治療に不可欠です。

  

うつ病から回復するために気を付けたい事

うつ病から回復するために、精神科医は患者にどんなアドバイスをしているのでしょうか。

本書で紹介されている内容を一部抜粋します。

  • エネルギーが枯渇しているうちは、気晴らしに行かない
  • 日常生活記録表をつける
  • 認知行動療法をやってみる。

①エネルギーが枯渇しているうちは、気晴らしに行かない

一つ目は、エネルギーが枯渇しているうちは気晴らしに行かないこと。

うつ病は、心のエネルギー不足が原因となって発症します。

家で動けなくなっている患者さんを見かねて、友人や家族が遊びに連れ出したりすることもあります。
しかし、そんな好意からの行動がうつ病を悪化させることもあります。

うつ病は基本的にはエネルギー不足の病であって、これらの「気晴らし」はいわばガソリンが切れかかっている車で長距離ドライブに出かけようとするようなものだからである。それになお悪いことに、うつ病者は誰かに誘われればノーと言えないので、それこそ最後の力をふりしぼってつき合い、旅行先で自殺した、という例すらあるのだ。

「ガソリンが切れかかっている車」という表現は非常にわかりやすいと思います。

外部からの働きかけだけでなく、本人も、ダラダラしている自分を許せずに無理に動いて病気を悪化させることもあり、休養の大切さが身に染みます。

  

②日常生活記録表をつける

うつ病では、休養・服薬・生活療法の3つの要素が重要とされています。

少しずつエネルギーが回復してきたら、運動や昼夜逆転生活の解消など、生活を整えることが回復を早めます。

自分自身で生活を整えるために有効なのが、日常生活記録表と呼ばれるものです。

これは、「行動活性化」と呼ばれる療法の一つとして使用される表です。
毎日の生活で何をしたか、それをすることによって気分がどのように変化したかを十点満点で記録します。

縦軸に時間、横軸に日付を書き、マス目に、その時間に行った行動とその時の気分を書くという構造です。

これを記録することで、「昼寝が多すぎて、夜の睡眠がきちんととれていないな」という気づきが得られます。

日常生活記録表が問題行動の発見に役立つような形となっている。しかし日常生活記録表は本来そのようなことを目的としているのではなく、動きの少ない、無為に流れがちの生活のどの部分をどのように変えれば、生活が活性化に向かうのかを検討する手段である。

この表は、問題のある行動を矯正する、という使い方ではなく、自分の行動が変わったら、気分がどう変化するのかを把握するためのものです。

日常生活記録表を使うことで、新たな発見が得られます。

  

③認知行動療法をやってみる。

自分自身の考え方を少しずつ変えていくために、認知行動療法という精神療法があります。

これは、うつ病にかからないための考え方改造法のようなものです。

うつ病者には特有の考え方、ものごとの捉え方があります。

認知行動療法では、日々体験する出来事を把握し、どう行動すればよいのかを具体的に考え、実践していくことで考え方の改造が図られます。

以下のような方法があります。

認知行動療法のやり方

①不安や悲しみを感じた出来事について、ノートに書く
②その出来事に対し、どんな考え方をしたのかを書く
③その考え方によって生まれた感情をパーセンテージで書く(例:怒り20%, 悲しみ80%)
④捉え方を考え直し、他にどんな考え方ができるかを考えて書く

例えば、職場の人に挨拶をしたのに、返事が返ってこなかったという出来事があったとします。

その時に、「自分は嫌われている」「迷惑だと思われているから挨拶なんかしない方がいい」と考えてしまい、その考え方にとらわれるとストレスになる。

たまたまその人が忙しくて気づけなかっただけかもしれないし、自分の声が小さくて聞こえなかっただけの可能性もあります。

別の視点で事象を捉えなおし、自分の考え方が変わることで感情も変化することを理解するのが、認知行動療法です。

自分でノートを使用して認知行動療法を行うこともできますが、認知行動療法を行うための書籍も出版されています。

  

おわりに

うつ病者の多くは穏やかで、人に気をつかい、誠実な人柄である。どうしてこのように一般的な意味において「よい人たち」がこんな病気に苦しまねばならないのか

私も、うつに苦しんだことがあります。自分自身のことが嫌いで仕方が無くて、消えてしまいたいと朝から晩まで考えていたことを覚えています。

しかし、当時の自分を思い返しても、また薬局に来るうつ病の患者さんたちを見ていても、決してダメな人間だとは言えない人ばかりです。

自分自身の能力が足りないことが悪いのではなく、出来事に対する考え方・捉え方を改めることで自分自身のストレスを減らすことができれば、回復への道が見えてきます。

本書は、うつ病にまつわる疾患区分や薬物療法・行動療法を網羅的に解説しています。
治療法について知るために読みましたが、新たに知る内容もあって勉強になりました。

  

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