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失敗して笑われるのが怖いときは、「みんな」という存在を疑ってみる

逸脱は反社会的ではなく、非社会的行為

モヤモヤの正体(伊雄大著)
Kada
Kada

自分に自信が持てず、長い間悩んでいました。
Kada(@Kada_Se)です。

最近、自信がない状態は周りへの過剰な配慮から来ているのではと思うようになりました。

空気を読み、世間一般の常識に合わせ、「みんな」に迷惑をかけないようにして生きる。そんな生き方は辛いけれど、「周りへの配慮が無い」と言われることを恐れ、自分を肯定することも難しいものです。

SNS上での他罰的な言動を見ると、ますます批判が怖くなって常識からはみ出さないようにしてしまい・・・

 

ああ~~~~!!!しんどいんじゃ~~~~!!!!

 

そんな現代人がハマりがちなモヤモヤを、解体して分析して、ズバッ!!!と切って、生きづらさを和らげてくれた本があります。

本日読んだ本は、『モヤモヤの正体 迷惑とワガママの呪いを解くー伊雄大著(ミシマ社)』。

学校や会社で人に合わせることに疲れて、自分を見失いそうな人に読んでほしいです。いやマジで。

 

この本で学べること

 

・子育て、コミュニケーション、仕事など、生活にまつわる様々な生きづらさ、モヤモヤがどのように形成されるのかが分かり、悩みがスっと楽になる。

・失敗を恐れず、自分を信じる感覚を手に入 れられる。

 

教室で笑われることが怖いー中学生の体験から

Kada
Kada

ちょっとだけ、私の中学生の時の体験談を話します。

28歳になった今でも頭から離れない記憶があります。

 

中学のころ、私は典型的な優等生でした。期末テストでは常に学年1位を取っていた記憶があります。

ある日の数学の授業中、基礎問題を解いている最中に私が教師に指名されて、立ち上がって答えを言いました。そしたら、答えを間違えていたんです。理由は計算のケアレスミスでした。

慌てて計算をやり直している途中、とある男子が

「ああ~ww間違えたwwww」

と言い放ちました。

その瞬間、教室中が笑い声で沸き返ったんです。

特段イジメられていたわけでもありません。なのに、普段仲良くしている子たちも一緒になって笑っていました。たった計算のミスだけでこんなに笑われるのかと、間違えたことに赤面しつつもすごく驚いたことを覚えています。

 

今思い返したら「黙れクソガキ!!!!」と言いつつバナナをそいつのケツに突っ込んでやろうかと思えるんですが、当時は相手に対して怒りが湧きませんでした。

むしろ、こんな簡単な問題も解けなかった自分が悪い、笑われたことが恥ずかしいと考えて、「間違えてはいけない」と思いこみ、しばらく授業で指名されるたびに手が震えてました。

 

自信が無くなる原因は、周囲からの逸脱

今考えたら、なんてことはない経験です。それでもこの件以来、「みんなから笑われてはいけない」「みんなの常識から外れてはいけない」という思考が生まれたと感じています。

 

どうしてクラスメイト達が笑ったんでしょう。

すぐに思いつくのは、単に『馬鹿にしたかっただけ』という理由です。でも、それだけなら仲良くしていた女の子たちまで一緒になって笑うことはないと思います。

おそらく、普段から頭がいいと思っていた(多分)人間が、ごく簡単な基礎問題を間違えたことが面白かったんだと思います。

要は、彼らが期待していた「優等生」という枠組みを外れた瞬間、普段の私との差異を見出して、そこにおかしみを感じたのではないか?と考えました。

 

 

自分に自身が持てない方の大半が、同じように周囲から逸脱してしまって笑われた(ないしは罵倒された)経験があるのではないかと思います。

クラスメイト達が笑ったことを非難するのでなく、自分の行動を恥じる方向に意識が向かってしまったことが、私の中でモヤモヤが残る一件でした。

 

本書の中で、著者自身もこれに近い経験をしたことが書かれています。

嘲笑された後の展開は、恥辱を感じた分だけ周囲に同調せずに個として生きていく強さを目指したわけではなく、むしろ笑われることに敏感になり、「また、おかしなことをしていないだろうか」とビクビクするようになったからです。

「モヤモヤの正体」伊雄大 著p159より

 

 

その後の私がたどった経過も、同じようなものです。また嘲笑されるのが嫌で、「笑われないこと」を前提にしたコミュニケーションをとるようになりました。自己否定の始まりとも言えます。

自己否定とどう向き合うべきか?

笑われないように人と接しようとすると、どうしても自分の意見が言えなくなります。

Kada
Kada

皆が賛同しているけれど、どうしても納得できない点があるから反対したい!

そんな場面でも、「もし、間違ったことを言ってしまったら?」と考えると、黙っている方が正しいように思えてきます。

そんな調子でも、家に帰ったら帰ったで

Kada
Kada

ああ・・・何で言えなかったんだ・・・自分はダメだ・・・

と落ち込んで、勇気を出せない自分を否定したりするんです。

 

中学生の時のモヤモヤは、10年以上たった今でもしこりを残しています。しかし往々にして、私たちの生きづらさとは、「みんな」という架空の存在から認められようとする意志から生まれるのではないでしょうか。

 

私は、「失敗する=周囲から恥ずかしいと思われる=悪いこと」だと、長い間考えていました。

しかし、失敗することは本来善でも悪でもなく、「自分が本来意図していた結果とは違う」というただの事象にすぎません。

失敗が怖いと思うとき、そこに自己否定が生まれることが問題なのではないかと本書で書かれています。

私たちは自分に対して真摯に向き合うことと、「だから自分はダメだ」と自らを頭ごなしに否定することの違いがなかなか分からなくなっています。内省は「ここは良かった。ここは改善の余地がある」と是々非々を問うはずですが、なぜかダメ出しと自己嫌悪にしか行き着かない。

「モヤモヤの正体」伊雄大 著p56より

自分に厳しくすることと、目標を達成するために内省することは違います。

しかも、失敗に対して自己否定が生まれるとき、そのほとんどが親や教師から教えられた価値観をなぞっているのが実情です。

 

本当の意味での自己否定は、「他人に望まれるような自分を演じる」というエゴを相手にしなくてはならないはずです。これを温存させたままの厳しさは見せかけでしかない

「モヤモヤの正体」伊雄大 著p57より

本質を突いた一文だと思います。自己否定との戦いとは、他人が望む自分になることで安心を得ようとする、自分との戦いなのかもしれません。

 

自己否定のメッセージから自由になるために

笑われないことを前提にしたまま、円滑なコミュニケーションを取るのは困難なことです。

「笑われないように」と神経を払うことは、自分を型に押し込めて、みんなが提示する基準から逸脱しないよう、自分を戒めている状態と同じだと思います。

しかし、「みんな」とは一体誰なのでしょうか?

私たちが空気を読みあうことで成り立つ世間には、私にとっての正しさや公共性よりも優位に置かれるコンセプトがあります。それは「みんながそう言う」「みんなそうしてやってきた」に裏打ちされた、慣習としての「正しさ」です。

「モヤモヤの正体」伊雄大 著p120より

『迷惑とワガママの呪いを解く』。これは本書の副題です。

自分の感覚に基づいて話すことは、時には独善的でワガママだとみなされることがあります。

しかし、「みんな」という不特定多数に配慮する感覚がただの慣習に過ぎないならば、受け入れられる意見だって環境・時代によって異なります。

そんな空気感に支配されて、自分をうまく表現できないとしたら、それはとて悲しいことです。

数学の問題を間違えて笑われたとき、クラスメイト達に「何がおかしいんだ」と言えなかったのは、彼らが共有する笑いのコミュニケーションを、空気を読まずに崩してしまうことが、きっと怖かったんでしょう。 

 

本書で一番、私が心に残った一文があります。

逸脱は反社会的ではなく、非社会的行為なのだと視点をずらしてみます。

現在の社会への反対ではなく、単に現状の社会の中には見当たらないという意味になります。

「モヤモヤの正体」伊雄大 著p217より

たとえ人から間違っていると言われたり、笑われたりしても、自分を恥じる必要はありません。

人と違っていることは「悪」ではなく、「まだ世の中に存在しない」だけだと視点を転換すること。それが、自信につながる思考ではないかと思います。

 

辛いとき、背中を押してくれる本

本書は人間関係の中で生まれるモヤモヤを、非常にわかりやすく解説した一冊です。

自己啓発書のような、こうすればいい、というノウハウの押し付けではありません。あくまでもモヤモヤの原因となっている人間関係を紐解き、自分で考えるためのきっかけになる本です。

悩んだとき、その都度読み返して著者の優しいメッセージを受け取りたいと思っています。

 


ごりらの感想🦍

本書のテーマは、「自己本位で生きる」ということだと感じました。ありのままの自分で生きることには、時に罪悪感が付随します。しかし、周囲の空気や他者の期待に流されて、自分を偽って生きることは、健全な人間関係とは対極にあります。コミュニケーションの醍醐味は、本来分かり合えない他者と、分かり合うためにしのぎを削ることにあるんだと再確認できました。

そんなわけで、本日はここまで。

バイバイ🦍

モヤモヤの正体 迷惑とワガママの呪いを解く

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